先日、開業当初から働いてくれているスタッフさんと話をしていて、
「そういえば、あんなお客さんがいたね~」
「こんなお客さんもいたね~、いろんなことがありましたね~」
という昔話をしていました。
たしかに開業以来、この11年の間、いろいろなことがありました。
いろいろとあるんですが、いまだに忘れらないという出来事(事件?)があります。
開業当初の苦い思い出
そのなかでも一番印象深いのが、開業当初の頃のこんな出来事。
あるお客様から、クローゼットの扉が変色してしまったと損害賠償請求され、加入している損害賠償保険が適用できない。
もしこちらが全責任を負うと、なんだかんだで180万円以上の損害になるということがありました。
(10年以上前のクローゼットなので、扉だけ交換することができず、クローゼット一式全交換しかないできなくて、総額が180万円以上)
(これはイメージ写真、実際の写真ではありません)
まあ、結果的には一銭も払わずに事なきを得たのですが、なぜ払わなくて済んだのかは、このあとでゆっくりと…
それは、2007年の夏前、今くらいの季節だったと思います。
あるお客様から、「お宅のスタッフが掃除したら、クローゼットの色が変わっちゃったよ、どうにかしてよ」という1本の電話から始まりました。
早速、確認のため、お伺いしてみると、たしかに備え付けのクローゼットの扉の一部の色が薄くなっていて、まだら模様になっていました。
詳しく話を聞くと、そのクローゼットの扉の手あか汚れが気になっていたので、うちのスタッフに掃除を頼んだそうです。
そこで、うちのスタッフは水拭きと中性の洗剤で拭いたようですが、汚れが落ちないことをお客様に話すと、マイペット(という洗剤がありますよね)で清掃してくれと言われたそうです。
ただ、スタッフも洗剤によっては色落ちしたりもすることがあるので、ちょっと心配なのでと断ったそうなのです。
しかし、お客様から大丈夫だよと言われ、マイペットを使用したところ、拭いた箇所の一部の色が抜け、薄くなってしまったようです。
(まあ、マイペットはそれほど強い洗剤ではないんですが・・・)
そして、お客様からの要求は、
・原状復帰すること
・いまのスタッフは気が利かないから、他のスタッフに変更すること
この2点。
そこで、
「マイペットを使って掃除してくれと言ったのはお客様ご自身ですよね、うちのスタッフもその指示に従ったので、全責任がうちにあるとは思えないんですが」
というようなことを話したら、そのあとは話が平行線。
(もちろん、こういうはっきりした言い方ではなく、言い方は充分注意して話したつもりなんですが)
うーん、それにしても原状復帰しろといわれてもどうすればいいんだと思いましたが、まあそれは専門家に任せればなんとかなるだろうと、まずは加入している損害賠償保険の保険会社に連絡。
しかし、その数日後、保険会社の担当者から、
「申し訳ないんですが、今回の事故案件は保険は使えません」
ガーン!
なんでだよー?
と詰め寄りましたが、その時入ってた保険では、色の変色は、状況によって適用外。
今回のケースはそれに該当するとのこと。
これは困った。
いくら言っても、保険会社はウンといいません。
これ以上言ってても埒が開かないので、まずはその扉の変色をどうするか?
早速、次の日から、知り合いの工務店さんや建具屋さん、あとは塗装屋さんにも相談しました。
そうそう、マイペットの発売元の花王にも何度か電話しました。
しかし、どうにもこうにもいい方法が見つかりません。
困った~。
そのことを考えてると、他の仕事も手につかないし、夜もなかなか眠れません。
なんだかんだで約1ヶ月。
お客さんとも何度も会い、交渉もしましたが、平行線のまま。
うーん、もう打つ手もなし。
このままの状態を続けているのも仕方がないので、最終的にお客様と折半の費用負担でなんとか再度交渉しようとしましたが、
いやいや、その前にちょっと待てよ。
そもそも、マイペットでそんな簡単に色落ちするの?
どうもそれが自分なりに納得できず、腑に落ちないことでした。
すでに花王にも相談したし、最後に、その家を元々建てた施工元の会社に聞いてみようと思いました。
これでダメなら、費用を一部負担するのもやむなしという考えでした。
まさかの展開へ
そうしたら、状況が 急展開!
まあ、会社名を言っていいのかどうかわかりませんので、とりあえず伏字にしますが、その施工元の会社は、「〇〇ハウス」という有名な会社です。
そこに電話して、
「これこれこういう状況になっており、マイペットはそんな強い洗剤ではないのに、なぜ色落ちしてしまったのか?どうしても、それが自分なりに納得いかないので、技術の人に電話を代わってほしい。理由をお伺いしたい」
別にどうこうしてもらおうというつもりではなく、自分を納得させるために電話したところ、その電話を受け付けした人から、
「その前に、もう一度詳しく状況をお聞かせ願えますか?もしかしたら、こちら対応できるかもしれませんので」
と言われ、今までの経緯、状況を説明したところ、
「今後の対応は、弊社でやらせていただきます。お客様負担の費用もかかりません。大丈夫です」
え?
なんか私もすぐには状況がつかめず、なになに?という感じでしたが、
要は、そのクローゼットの色落ちは、いわゆる車のリコールと同じようなもので、長年使用していると、扉の一部の溶剤が染み出してくるという不具合があるようです。
その場合、お客さんからの指摘、申し出に限り、施工元で無償対応。
その溶剤を除去してくれるとのこと。
そして、数日後、お客様先のクローゼットも対応いてもらい、無事完了!
お客様からも「直ったから、大丈夫」との確認を頂き、やっと終わりました。
しかし、あっちこっちに手を尽くしたおかげで、なんとかなりました。
決してあきらめず、できることはなんでもやる。
あの時のことから学んだことです。
いまなら、もう少しうまく対応できるかもしれませんが、当時はこの仕事を始めたばかりで、いろいろ知らないこと、至らないことがあったんでしょうね。
その後、保険内容の見直し、結果的に保険会社を変更。
スタッフさんたちにも、今回のように作業に不安がある時は、作業を行う前に、まず私に連絡する。
そういうルールにしました。
いや~、それにしても、今はこうやって話せますが、あの時はそれどころではなかったんですって!?(笑)
おわり。
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