日本語には、読み方は同じでも、使う漢字によって、意味が違ってくる言葉というのが、いくつかあります。
今回は、私が以前から使い分けがよくわからなかった言葉 ”十分と充分” について、調べてみました。
十分と充分、字の使い分けできてますか?
どちらも”満たされている”という意味であるのは一緒ですが、この2つには微妙なニュアンスの違いがあります。
十分・・・物理的、数値的、に満たされている事
充分・・・精神的に、満たされている事
それぞれの使い分けの例文
それでは、例を挙げて、説明したいと思います。
例1)
・今日の売上は十分だ ※数値的に一定の条件をクリアしているという意味になります。
・今日の売上は充分だ ※精神的に満足できるほど、売れたというような意味になります。
例2)
・テストの結果は十分満足できた ※点数の結果を満たしたという意味です。
・テストの結果は充分満足できた ※点数には拘らず、力を出し切れたという意味です。
このようにどちらを使っても、間違いではありませんが、そこに含まれる意味合い(ニュアンス)は違ってきます。
元々は、”十分”と書いていた
腹八分や八分丈という言葉があるように、元々”十分”という言葉がありました。
その十分という言葉は、”満ち足りて不足がない”とか”充実していて完全である”であり、充実、充足しているという意味合いから、”充分”と書くようになったのです。
つまり、充分は十分の当て字なんです。
ですから、どうしてもどちらを書いてよいのかわからないという場合には、十分と書いてしまっても問題ないわけです。
公文書では”じゅうぶん” もしくは”十分”を使う
ニュアンスにより使い分けると書きましたが、その使い分けが適切でない場合があります。
公文書では文化庁が公表している”用字用語例”により、充分は、”じゅうぶん”もしくは”十分”という語句に書き換えるというルールがあります。
それは、充分が当て字であることと、十のほうが字数が少なく教育漢字であるというのが理由とされています。
まとめ
公文書ではじゅうぶん、もしくは十分を使うというルールが一般的ではあるものの、憲法では充分と記載されている箇所があることを踏まえ、実際の生活の中で使用する時は、ニュアンスの違いを確認しながら、使い分ければよいのではないかと思います。
今回は、十分と充分を例に挙げましたが、それ以外にも同じように使う漢字によって、意味合いが違ってくる言葉がいくつかあります。
必要以上に考えすぎなくても意味が通じると思いますが、ビジネスマナーとして、覚えておいたほうがよい語句であることは確かなようですね。
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